おいしい浮世絵展 普段は目に留めないすみっこに描かれた食に注目。再現料理の写真やレシピ、今も続く名店まで。こんな浮世絵展は初めて!

  1. 延期していた、おいしい浮世絵展の会期が下記になりました
    1. 2020年7月15日(水)〜9月13日(日)
  2. おいしい浮世絵展の概要
  3. おいしい浮世絵展のみどころはここ
    1. 季節の楽しみと食
      1. 三代歌川豊国(国貞)「見立源氏花の宴」
      2. 三代歌川豊国(国貞)「十二月ノ内 水無月 土用干」(部分)
      3. 三代歌川豊国(国貞)「十二月の内 小春 初雪」
      4. 歌川豊国「中村座内外の図」部分
    2. にぎわう江戸の食卓
      1. 歌川国芳「縞揃女辨系(しまぞろえおんなべんけい)」
      2. 歌川国芳「春の虹蜺(こうげい)」
      3. 月岡芳年「風俗三十二相 むまさう 嘉永年間女郎之風俗」
      4. 歌川国芳「其のまゝ地口 猫飼好五十三次(みょうかいこうごじゅうさんびき)」部分
      5. 歌川広重「魚づくし 鯖(さば)かざみがにに朝顔」
      6. 三代歌川豊国(国貞)「四代目市川小団次の鬼あざみ清吉」
      7. 葛飾北斎『北斎漫画』十編
      8. 歌川国芳「五行之内 西瓜の水性」
      9. 歌川広重「名所江戸百景 びくにはし雪中」
      10. 歌川国芳「五行之内 西瓜の水性」
      11. 歌川国芳「東都名所 佃島」
    3. 江戸の名店
      1. 歌川広重「高名會亭盡(こうめいかいせきづくし)両國柳橋 河内屋」
      2. 歌川国芳「當盛江戸鹿子(とうせいえどかのこ) 永代橋ノ景」
      3. 三代歌川豊国(国貞)、歌川広重「東都高名會亭盡 まつのすし すしや娘お里」
  4. おいしい浮世絵展の音声ガイドは声優の江口拓也さん
  5. おいしい浮世絵展のインスタ映えスポットはここ
  6. おいしい浮世絵展のグッズがかわいすぎる
    1. 展覧会オリジナルグッズ
    2. 山田全自動 ×「おいしい浮世絵展」
    3. 創悦(そうえつ)×「おいしい浮世絵展」
    4. おいしい展プレゼント三姉妹
  7. おいしい浮世絵展の図録はここがすごい
  8. おいしい浮世絵展の混雑状況はここをみる
  9. おいしい浮世絵展のチケットはいくら?
  10. おいしい浮世絵展の会場、巡回先はここ

延期していた、おいしい浮世絵展の会期が下記になりました

2020年7月15日(水)〜9月13日(日)

おいしい浮世絵展の概要

通常美人画は、描かれている美人をみます。特にみるのは、髪の毛の生え際を一本一本を彫りで表現する技法です。『毛割(けわり)』と呼びます。

おいしい展はそこへは向かわず、美人が手にしている食に注目します。浮世絵の画面自体は大きなものではないので、食は数センチかミリ単位です。研究者か、そうでなければマニアの視線です。

団扇絵(うちわえ)は、美人と食が対で向き合っているので分かりやすいです。私はこれを初級としました(笑)。「春の虹蜺」「五行之内 西瓜の水性」

中居の女性が運ぶお膳の上に、深鉢には野菜、お椀がふたつなのでお客はふたりと読み解きます、中級。「當盛江戸鹿子 永代橋ノ景」

宴席の料理は握りずし、刺身などです作り合わせの赤白2種の刺身は鯛(たい)と鮪(まぐろ)、脇に大根おろし、生防風(しょうぼうふう)、山葵(わさび)らしい3種の薬味。猪口の中は刺身につける醤油と煎り酒だそうです、上級。「見立源氏花の宴」

まだ続きがあります。歌舞伎の升席の料理皿です。ここまで来ると、さすがに目がチカチカしてきます。会場には、壁面いっぱいに伸ばしたパネルがありました。

歌川豊国「中村座内外の図」部分

同フロアのレストランには再生料理も用意されており、私は食事をすませてから出かけたことが唯一の心残りでした。

浮世絵、食、江戸、すみっこが好きな方におすすめの展覧会です。

おいしい浮世絵展のみどころはここ

季節の楽しみと食

三代歌川豊国(国貞)「見立源氏花の宴」


江戸時代後期の戯作者柳亭種彦(りゅうていたねひこ)による未完の小説『紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』の一場面を表しました。

三代歌川豊国(国貞)「十二月ノ内 水無月 土用干」(部分)

三代歌川豊国(国貞)「十二月の内 小春 初雪」

歌川豊国「中村座内外の図」部分


歌舞伎などの芝居小屋で、菓子・弁当・鮨( すし)のことを、その頭文字をとって「かべす」と呼びました。

にぎわう江戸の食卓

歌川国芳「縞揃女辨系(しまぞろえおんなべんけい)」

歌川国芳「春の虹蜺(こうげい)」

虹蜺とは虹のことです。「虹」ははっきりと見える主虹、「霓」はその外側に薄く見える副虹です。古代中国では、これらをそれぞれ雌雄の蛇または竜としました。

女性が鰻を食べようとしたそのとき、空に虹がかかります。口を開いたまま、一瞬虹に興味が向けられました。ドラマティックな展開(笑)。

団扇絵は1744年に、三代目上村吉右衛門の手がけた色摺りによる「大文字屋□図」が始めとされます。

矩形の紙に団扇の形に版画を摺ったもので、これを実際に竹の骨に貼って使用しました。

団扇絵をあつかう版元は、江戸で大衆本を出版する地本問屋とは別に団扇問屋となりました。団扇問屋は、団扇に仕立てられた製品だけを販売し、摺ったままの一枚絵の販売はせず地本問屋と住み分けをします。

実際に団扇として使用された団扇絵は消耗品として残りません。しかし、団扇とならずにそのまま鑑賞されているものや、図柄の見本帖として綴じられていたものが現存しています。

月岡芳年「風俗三十二相 むまさう 嘉永年間女郎之風俗」

歌川国芳「其のまゝ地口 猫飼好五十三次(みょうかいこうごじゅうさんびき)」部分


猫好きの国芳が、東海道五十三次の宿場名の地口(語呂合わせ)を猫の姿で表します。

鰹節2本の「二本だし」→ 日本橋から旅立ちます。「白かを」→ 白顔 → 品川、「かばやき」→ 蒲焼 → 川崎、「かぐかハ」→ 嗅ぐ皮 → 神奈川と続きます。終点の京は、捕まえられた鼠の悲鳴「ぎやう」でした。

歌川広重「魚づくし 鯖(さば)かざみがにに朝顔」

三代歌川豊国(国貞)「四代目市川小団次の鬼あざみ清吉」

葛飾北斎『北斎漫画』十編

歌川国芳「五行之内 西瓜の水性」


タイボグラフィがまぶしい「やまくじら」。

江戸時代後期、表向きには肉食は禁じられており、具材の例としては鯛や鯒(こち)など魚介が並びます。しかし、実際には江戸の町でも猪や鹿の肉を「山くじら」と呼んで鍋で出す店もありました。

歌川広重「名所江戸百景 びくにはし雪中」


右の看板の「○やき・十三里」は焼き芋屋です。十三里 = 九里 + 四里 と読めば「栗(九里)より(四里)旨い十三里」となります。

歌川国芳「五行之内 西瓜の水性」

歌川国芳「東都名所 佃島」

永代橋から舞い散るのは、川で死んだ人の霊を弔う川施餓鬼(かわせがき)の紙です。しかし、おいしい展の見どころは画面左の橋脚のこんなところ。

江戸の名店

歌川広重「高名會亭盡(こうめいかいせきづくし)両國柳橋 河内屋」


『江戸高名會亭盡』は江戸の有名な料理屋を取り上げた全30図の揃物です。

両国柳橋にあった河内屋は、隅田川を前に美しい風景を楽しむことができました。貸座敷としても利用され、書画会や落語会などがしばしば行われました。

歌川国芳「當盛江戸鹿子(とうせいえどかのこ) 永代橋ノ景」

三代歌川豊国(国貞)、歌川広重「東都高名會亭盡 まつのすし すしや娘お里」


『東都高名會席盡( とうとこうめいかいせきづくし )』は1852年10月より翌1853年の2月にかけて刊行された50枚揃いの合作浮世絵です。

三代歌川豊国(国貞)による役者、コマ絵の部分には歌川広重による江戸の名店の店構えや名物が描かれています。

おいしい浮世絵展の音声ガイドは声優の江口拓也さん

音声ガイドナレーターは、ご自身も料理が好きな声優・江口拓也(えぐちたくや)さんです。

1987年生まれ、茨城県出身。高校2年のとき、深夜テスト勉強中につけた小野坂昌也のラジオ番組で、声優に興味を持ちました。

主な出演作品は「ULTRAMAN」 諸星弾役、「俺物語!!」剛田猛男役、ゲーム「アイドリッシュセブン」六弥ナギ役ほか。

「浮世絵を通して、…今にも受け継がれているものを感じるのはいい嗜み(たしなみ)だなと思いました。」と江口さんは語っています。

貸出価格 : お一人様1台600円(税込)

おいしい浮世絵展のインスタ映えスポットはここ

東京メトロ日比谷線「六本木駅」1C出口から向かいました。改札を出ると、赤の格子柄を背景に「春の虹蜺」の鰻の串を掴んだ女性に迎えられます。

黄色の格子柄は「見立源氏花の宴」の二人です。「縞揃女辨系」の女性もいました。

52階へ向かうエレベーターの床には、三密を避けるよう靴のマークがありました。

会場には撮影用に、二八蕎麦のセットが置かれていました。背景は歌川広重「東都名所 高輪廿六夜待遊興之圖」です。鬼あざみ清吉気分でインスタ映えを狙いましょう。

赤に白抜きの「お」の暖簾は、同フロアの Cafe THE SUNです。浮世絵にも登場する料理から、4種類の御膳が用意されています。9月4日(金)まで。

おいしい浮世絵展のグッズがかわいすぎる

展覧会オリジナルグッズ

山田全自動 ×「おいしい浮世絵展」

山田全自動(やまだぜんじどう)は、日本のイラストレーター、ウェブデザイナーです。
1983年生まれ、佐賀県出身、本名は山田孝之。ネーミングは福岡出身の俳人吉岡禅寺洞(よしおかぜんじどう)から。洗濯機ではありませんでした。

独学で浮世絵を学び、Instagramへ投稿したところ好評を得ました。2016年からあるあるネタを盛り込み笑える俳画の制作を始めます。有名人のフォロワーが付き、メディアでも紹介されています。

創悦(そうえつ)×「おいしい浮世絵展」

創悦(そうえつ)は日本の皮革産業を活性化するために発足したプロジェクトです。

おいしい展プレゼント三姉妹

おいしい浮世絵展の図録はここがすごい

「おいしい浮世絵展~北斎広重国芳たちが描いた江戸の味わい~」

図録のサイズは20cmの正方形でコンパクトです。ちなみに、おせち料理の重箱サイズは、6.5寸(19.5cm)です。おしかった(笑)。

表表紙には「春の虹蜺」の女性が、裏表紙には「縞揃女辨系」の女性が切り抜きで置かれています。図録本体のタイトルは背表紙だけにあります。

図録本体は薄紙のカバーが包んでおり、女性たちがうっすらと覗きます。

表表紙のタイトルはこのカバーにあります。タイトルに添えられた、あぐらをかき蕎麦を食べている男性は『北斎漫画』初編にいます。背表紙で重箱を囲む4人も『北斎漫画』初編です。

各章のとびらのコラージュが愛らしく賑やかです。

「錦絵の出版事情」「団扇絵」など浮世絵の読み解きはもちろんのこと、「幕の内弁当」「天ぷら」「豆腐田楽」「霰(あられ)豆腐」「豆腐粥(かゆ)」などの美味しそうで、懐かしそうな料理のレシピや写真 。

やや敷居の高そうな「すし」「鰻(うなぎ)」「天ぷら」「蕎麦(そば)」の、今も続く名店といった食に多くのページを割いています。

浮世絵と食がおいしいダッグを組む、ちょっとない図録です。そうそう、配膳の娘のしおりが付います。

ハードカバー/W200 × H200mm/カラー/320p
販売価格:3,000円(税込)

おいしい浮世絵展の混雑状況はここをみる

展覧会は、混雑緩和のため日時指定の予約制です。
指定の時間枠の最初は混みあいますが、普段よりゆったりと鑑賞することができます。

混雑状況は、美術館や展覧会のツイッターに掲載されます。
災害などによる臨時休館や、イベント情報などリアルタイムで分かります。

おいしい浮世絵展の公式アカウント

おいしい浮世絵展のチケットはいくら?

 

入館料
一般1,800円/ 大学生・高校生1,300円/ 中学生・小学生800円

おいしい浮世絵展の会場、巡回先はここ

森アーツセンターギャラリー
〒106-6150 東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー52F

開館時間
10:00~20:00
※8月28日(金)は 17時閉館
※入館は閉館の30分前まで
※会期中展示替えがあります

アクセス
東京メトロ日比谷線「六本木駅」1C出口 徒歩0分(コンコースにて直結)
都営地下鉄大江戸線「六本木駅」3出口 徒歩4分
都営地下鉄大江戸線「麻布十番駅」7出口 徒歩5分
東京メトロ南北線 「麻布十番駅」4出口 徒歩8分
東京メトロ千代田線「乃木坂駅」5出口 徒歩10分
※上記は、六本木ヒルズまでの所要時間

お問い合わせ
Tel.03-5777-8600 (ハローダイヤル)